火事や事故などがあった家を売却する際、「お祓いしたほうがいいのかな」と悩む方は少なくありません。法律上、心理的瑕疵物件にお祓いを行う義務はありません。
しかし、買主の心理的負担を和らげ、スムーズな売却を後押しする意味で、お祓いを検討するケースもあります。本記事では、家売却におけるお祓いの必要性や依頼方法、費用相場、マナーや注意点を解説します。
目次
1.火事物件の売却と心理的配慮
火事のあった物件は、法律的な瑕疵ではなくても、購入者にとって心理的な負担が大きく、売却価格や成約スピードに影響することがあります。特に内覧時に火災の跡が目に入ると、購入意欲が下がる場合も少なくありません。
そのため、売却活動では物件の清掃や整理整頓はもちろん、火災履歴や修復内容を丁寧に説明することが大切です。
お祓いは、こうした心理的負担を軽減する一つの手段です。火災があった家の持つネガティブなイメージを和らげ、購入者に安心感を与えることで、売却活動を円滑に進める効果が期待できます。特に、慎重な層やファミリー層の購入者に対しては、購入意欲の後押しになるケースもあります。
2.お祓いは本当に必要か?
お祓いの目的は、火事などで物件についた負のイメージをリセットし、家や土地を清めることにあります。神社やお寺による祈祷を受けることで、物件に「新しいスタート」を象徴する意味を持たせることができ、買主に心理的な安心感を与える効果が期待できます。
ただし、法律上、お祓いを行う義務はありません。火事があった事実については「告知義務」があり、必ず買主に説明しなければならず、これを隠すことはできません。
したがって、お祓いは法的な必須事項ではなく、あくまで売主や仲介業者が「心理的配慮」として行うものといえます。
事故物件の告知義務については「事故物件でも売りたい!売却成功のポイントとは?」にて詳しくご紹介していますのでこちらを参考にしてみてください。
3.お祓いの依頼先と費用相場
お祓いは、神社やお寺に依頼することが一般的です。費用は依頼先や規模、地域によって変動します。目安としては、神社で3万~10万円、お寺に依頼する場合は5万~15万円程度が多いとされています。
依頼する際には、実績や口コミを確認して信頼できるところを選ぶことが大切です。費用や内容は事前に確認し、領収書を受け取っておくと安心です。また、不動産会社によっては地域の神社やお寺を紹介してくれる場合もあります。
4.お祓いのマナーと注意点
お祓いを依頼する際には、家の清掃や日程調整など、いくつかのマナーを守ると安心です。まず、家の中や玄関をきれいにしておくことで、神職や僧侶の方がスムーズに作業できます。また、近隣への騒音や参列者の出入りについても配慮が必要です。儀式の後には、お祓いを受けた証明書や領収書を必ず受け取ることをおすすめします。
5.その他にお祓いをしたほうがいいケース
火事以外にも、売却を検討する物件によってはお祓いを行うことで心理的安心を提供できる場合があります。たとえば、建物や土地で過去に不自然な出来事があった場合や、近隣でのトラブルの影響を受けやすい場合などです。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。
5.1.火事以外の事故や災害があった物件
地震や水害、漏電などで被害を受けた建物は、買主にとって不安要素になることがあります。お祓いを行うことで、物件に新しいスタートを象徴する意味を持たせ、心理的負担を和らげる効果が期待できます。
5.2.古い住宅や長期間空き家だった物件
長年人が住んでいなかった家や築年数の古い物件は、買主にとってネガティブなイメージがつきやすいです。お祓いを行うことで、清潔感や安全感を演出し、安心して内覧してもらう環境を作れます。
5.3.周囲の評判や噂が気になる場合
過去に不審火や事件があった地域、または近隣でのトラブルの影響が残る場合も、お祓いを実施することで心理的安心を提供できます。購入者に「安心して暮らせる家」と感じてもらう手段のひとつです。
5.4.古い井戸や使われていない井戸がある物件
昔ながらの井戸が敷地内に残っている場合、特に使用していない井戸は心理的に不安を感じる購入者もいます。お祓いを行うことで、土地全体を清めるイメージを持たせ、安心感を提供できます。安全上の理由から封印や管理方法を併せて説明すると、より信頼性が高まります。
これらのケースでは、必ずしもお祓いが売却条件ではありませんが、買主の不安を和らげる心理的サポートとして有効です。火事物件だけでなく、購入者が安心できる環境を整えるための選択肢のひとつとして考えると良いでしょう。
よくある質問
Q.1 火事のあった家は必ずお祓いするべきですか?
A.法律上は義務はありませんが、心理的瑕疵を気にする買主が多いため、任意でお祓いを行うケースがあります。購入後のトラブルを避ける意味でも、検討の余地はあります。
Q.2 お祓いの効果は科学的に証明されていますか?
A.科学的な証明はありません。しかし、心理的安心を与える点で意味があり、買主の心理的ハードルを下げる効果が期待できます。
Q.3 掃除だけでも十分ですか?
A.清掃だけでも家の印象は改善されますが、お祓いを併用すると、より強い安心感を買主に与えられます。
Q.4 お祓いの費用はどのくらいですか?
A.一般的には3万~15万円程度です。依頼先や内容によって変動するため、事前に見積もりを取りましょう。
Q.5 誰に依頼すればよいですか?
A. 神社の神職やお寺の僧侶に依頼します。不動産会社が地域の神社・寺院を紹介してくれる場合もあります。
Q.6 仏壇がある家の売却でお祓いは必要ですか?
A.法律上は必須ではありませんが、心理的安心を重視する場合に任意で行うことがあります。撤去や扱いは事前に買主と調整すると安心です。
まとめ
心理的瑕疵物件の売却において、お祓いは法律上必須ではありません。しかし、買主の心理的安心を考えれば、有効な手段のひとつです。
大切なのは「お祓いをしたかどうか」だけではなく、修復履歴や工事内容を正確に伝える誠実な対応です。清掃や整理整頓で内覧時の印象を整え、必要に応じてお祓いを取り入れることで、安心して購入を検討してもらえる環境を整えましょう。
お祓いや売却に関する具体的なご相談は、地域の神社・寺院や、心理的瑕疵物件の取り扱いに詳しい不動産会社にお気軽にお問い合わせください。専門家に相談することで、安心してスムーズな売却活動を進められます。

株式会社フレンドホーム
経営企画部マーケティング課
増田 絵実
埼玉県北葛飾郡杉戸町在住。
子育てをしながら不動産業界で5年以上、営業サポートとして勤務。
物件のポータルサイト掲載や販促資料の作成など、営業活動を支える業務を幅広く担当。
これまでの経験を活かし、現在は「この街に住む人にとって、住む街がより魅力的なものになるように」をテーマに、賃貸・購入・売却に関する知識や、子育て世代ならではの視点を盛り込んだ不動産コラムを執筆。