「空き家問題」というワードを耳にしたことがある方は多いと思います。
幸手市でも2013年時点で2060戸あった空き家が2018年時点には2380戸と5年間で320戸も増加傾向にあります。
「空き家になるとどんなリスクがあるのか?」漠然としたイメージは皆さんお持ちかと思います。
今回は社会問題化する空き家を所有するリスクとその対策についてお伝えしていきたいと思います。
1:空き家
まず、空き家についての基本知識をみていきましょう。
空き家とは文字通り空いている家屋の事を言います。
2018年10月1日の総務省統計局による「平成30年住宅・土地統計調査」において、日本の総住宅数6,242万戸のうち、空き家は13.6%を占めています。調査が開始されて以来、最高の値です。
1.1:なぜ空き家が増える?
なぜ空き家が増えるのか。様々な原因が考えられますが、代表的な原因として以下の3つが挙げられます。
①高齢化社会
少子高齢化による「高齢者のみの世帯」や「高齢者単身の世帯」の増加が影響しています。
高齢者が高齢者施設へ入居してしまった際にはそれまで住んでいた家屋は空き家となるためです。
②新築住宅需要が高い
新築住宅の需要が中古住宅より高いことも原因の一つです。
新築では住宅ローン控除や補助金制度など優遇策がとられているため、新築を購入するハードルが下げられ、似たような立地で同じような価格であれば中古住宅より新築を選ぶ人が多いことが現状です。
また、日本の人口は減少傾向にあるにもかかわらず、新築住宅の数が増えているため、中古住宅の流通シェアはあまり伸びず空き家が増える要因と考えられます。
③所有者が空き家を放置している
住宅を相続したが、既に自分の家を所有しているため住む予定がないまま放置されている場合や、解体し更地にすることで解体費用や固定資産税・都市計画税が高くなってしまうため空き家の状態にしておく場合、売却・解体したくても他の親族の了承が得られないなど様々な理由で空き家が放置されてしまうことも空き家が増え続けてしまう原因のひとつです。
2:空き家のリスクとは?
空き家を持つことで様々なリスクが伴います。ここでは空き家のリスクについてお伝えしていきます。
2.1:安全性のリスク
空き家を放置することにより、雑草が生い茂り街の景観を損ねたり、締め切った家屋には害虫の発生源になる可能性も。老朽化した建物が倒壊する恐れもあります。
また、犯罪者の不法侵入や不法占拠、粗大ごみの不法投棄、放火されるリスクなども考えなければなりません。
2.2:機会の損失
空き家を有効活用せずに、放置し続けると、本来活用できるはずだった機会が失われることになりかねません。
たとえ空き家であっても、不動産を所有している限り、毎年の固定資産税は支払い続けなければならず出費が増えていきます。しかし、空き家を売却したり、賃貸物件として貸し出すことができれば、利益を得られる可能性があります。そのため、手持ちの不動産を空き家として放置することは、所有者によってはもったいないことになります。
また、行政から見ると、空き家のままでは適切な住民税が徴収できません。さらに、住宅がありながら十分に活用できていないことは、大きな不利益です。空き家は地域の活性化を阻害し、税金面でも住宅供給面でもマイナスの影響を与えるのです。
3:社会問題化する空き家対策
増え続ける空き家に対し、国では「空き家対策特別措置法」において以下のような対策をとっています。
3.1:特定空き家とは
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、以下のような状態の空き家を「特定空き家」と定義しています。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「特定空き家」として認定された場合、自治体から助言・指導・勧告・命令という順番で是正を求められる可能性があり、空き家の所有者は状況を改善しなければなりません。
改善が見られない場合、固定資産税等の住宅用地特例の適用を解除される可能性があります。
また、もし命令まで無視すると行政代執行という手続きにより、最後は空き家が強制的に取り壊されます。取り壊し費用は当然、所有者が支払わなければなりません。
3.2:管理不全空き家とは
2023年12月13日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(以下、改正法)」にて、新たに定義された空き家が「管理不全空き家」です。管理不全空き家とは、このまま放置すれば、いずれ特定空き家になるおそれのある空き家のことをいいます。
以下のような状態の空き家が該当します。
・壁や窓の一部が腐食・破損、落下の可能性がある
・雑草や枯れ草が管理されない
・敷地内にゴミなどが散乱、放置されている
改正法では「管理不全空き家」として認定された場合、自治体から指導と勧告を受ける可能性があります。勧告を受けると、固定資産税等の住宅用地特例が解除される点が大きなポイントです。
適切な管理が行われず、そのまま放置すれば特定空き家に認定されるおそれがあります。
4:もし空き家を所有したら?
上記でもお伝えしてきたとおり、誰でも空き家の所有者になる可能性があります。もし、住む予定のない空き家を所有したときどうすればいいのか。
ここでは3つの対処法をお伝えしていきたいと思います。
4.1:賃貸
賃貸需要の高いエリアの空き家であれば、賃貸物件として貸し出すという選択肢があります。空き家を賃貸に出せば、毎月家賃収入を得ることができます。
ただし、空き家を賃貸に出せる状態にするには、リフォームやハウスクリーニング、補償の大きな火災保険に加入するなどある程度のコストが必要です。
また、空室リスクや家賃の滞納リスクなども発生するので、10年後や20年後でも賃貸事業を継続できるかどうか、十分なシミュレーションも必要です。
4.2:売却
空き家を活用する術がない場合は、不利益が発生する前に売却してみてはいかがでしょうか。
一般的な不動産売却で買い手が見つからない場合は、不動産会社に買い取りも視野にいれてみることも。
買取では、売却価格が相場の6〜8割程度になるものの、売却しにくい物件でも短期間で買い取ってもらうことが可能です。
4.3:相続放棄
売却や賃貸物件として貸し出すことが見込めず、空き家を相続するメリットがないときは、相続放棄も選択肢になります。
ただし、空き家を管理する必要がなくなり、固定資産税などの納税義務からも解放されますが、相続放棄するとすべての財産を相続できなくなります。もし、預貯金などプラスの遺産があった場合にはそれも放棄しなくていけません。
5:まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は社会問題となっている「空き家のリスク」についてお伝えしました。
空き家を放置することには様々なリスクがあり、空き家問題は他人事ではありません。現在、空き家を所有していない方も、親の死や老人ホームの入居などがきっかけで、空き家を所有する可能性があります。
空き家を所有した際のリスクをしっかり把握し、もし空き家を管理することが難しい場合には賃貸や売却といった方法で対策が必要となります。
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